近年では日本にも様々な国の世界のお菓子が上陸し、沢山の種類のスイーツを食べられるようになりました。これまでにも様々な世界のお菓子が日本でブームとなりましたが、近年注目を集めているものとして、パステル・デ・ナタが挙げられます。あまり聞いたことがなく、どのようなものなのかわからないという人も多いかもしれませんが、今回は『パステル・デ・ナタ』についてご紹介したいと思います。
そもそもパステル・デ・ナタとは、ポルトガルのエッグタルトといえばわかりやすいでしょう。伝統菓子のひとつであり、卵の黄身をたくさん使ったカスタードクリームを詰めて焼いた小さなパイのことを指しています。カスタードタルトやエッグタルトなどとは、もの自体はほぼ同じと言っても過言ではありませんが、違いは発祥と言えるでしょう。パステル・デ・ナタはお菓子の国ポルトガルが発祥であり、カスタードタルトはイギリス、エッグタルトはマカオとなっています。細かく違いをあげれば、パステル・デ・ナタの場合にはシナモンがまぶされていることといえます。イギリスのカスタードタルトにはナツメグが使われています。
違いがわからないという人も多いかもしれませんが、そもそもエッグタルトは20世紀の初頭にポルトガル風のパステル・デ・ナタとイギリス風のカスタードタルトを融合してマカオで販売を始めたのが始まりとされています。その際に砂糖を少し抑えるなどして改良されたものがポルトガル風として販売を始めたのです。これにより香港や中国、日本でもエッグタルトの名前が定着したと言えるでしょう。
パステル・デ・ナタの始まりはポルトガルの首都であるリスボンの修道院で、18世紀以前に発明されました。修道女たちはその当時衣服に洗濯用のでんぷんのりを使っていたのですが、この時に大量の卵白が使われていたのです。修道院ではその際に残った卵の黄身を使ってケーキやタルト作りをしていて、ここで作られたものが発祥とされています。その後修道院は閉鎖の危機に直面し、修道女たちが少しでも収入を得たいという思いから、近くの製糖所でこのお菓子の販売をはじめたのです。結局のところこの修道院は閉鎖されてしまうのですが、閉鎖されてから3年後に製陶所の所有者がこのお菓子の販売をはじめ、現在でも事業が継続されています。
日本でもコストコや通販ではパステル・デ・ナタを販売しているので、実際に手に入れることができます。特に通販のものはマカオに本店を構える世界的にも有名な専門店が販売しているので、本場の味を味わえるでしょう。